電気工事士、電気主任技術者、電気施工管理技士に興味のある方、勉強中の方向けのサイトです
電気主任技術者の免状取得、実務経験と実務経歴証明書の書き方

電気主任技術者の免状取得、実務経験と実務経歴証明書の書き方

電気の資格に詳しい人
電気主任技術者の免状取得の方法
認定取得とは、実務経験と認められる業務、認められない業務
実務経歴証明書の書き方、面談

電気主任技術者の免状ってどういう手続きでもらうかわかりますか?

電気主任技術者試験合格者は案内がありますけど、認定取得の場合はわかりませんよね。「認定取得の実務経験ってどんなものが実務経験に当たるのか?」、「実務経歴証明書ってどんなもの?」って色々とわからないことが多いんですよね。

この記事では、電気主任技術者の免状取得の方法、認定取得とは、実務経験と認められる業務、認められない業務、実務経歴証明書の書き方、面談を紹介しています。

認定取得で実務経験調べたけど難しいって人にできるだけわかりやすく実例含めて書いてあるのでわかりやすくなっています。

免状の申請先は試験合格者電気技術者試験センター、認定取得は最寄りの産業保安監督部です。
実務経験は一定電圧以上の電気工作物の工事、維持または運用です。一般電気工作物、海外での電気業務、車両、鉄道等の電気設備業務などは実務経験に含まれません。
実務経歴証明書は5W1Hを意識して相手が見たときに完全に理解できるように書きましょう。
本ページはプロモーションが含まれています。

電気主任技術者の免状取得の方法

電気主任技術者の免状取得の方法は試験合格と認定取得で違います。

 

試験合格で免状を取得する場合

試験に合格する場合は電験三種は4科目合格したとき、電験二種、一種は二次試験を合格した場合です。

電気技術者試験センターから郵送されてくる試験結果通知書に、免状交付申請書、免状交付申請要領等を同封されています。

免状交付申請書に必要事項を記入のうえ、電気技術者試験センターに提出すると免状がもらえます。申請後約2カ月で免状が送られてきます。

引用:(一財)電気技術者試験センター 電気主任技術者の免状の交付事務より

 

認定取得で免状を取得する場合

  • 主任技術者免状交付申請書
  • 卒業証明書
  • 単位取得証明書またはこれに代わるもの
  • 実務経歴証明書
  • 戸籍抄本又は住民票(本籍の記載のあるもの)
  • 免状送付用宛先用紙

参考:電気主任技術者の免状の交付申請に必要な書類の作り方

必要書類の6つを最寄りの産業保安監督部に提出し、担当者との面談後に免状が交付されます。

卒業証明書と単位取得証明書は卒業した学校から取り寄せましょう。そのとき単位取得証明書は2部あると色々と便利ですよ。1部は単位取得の確認用、もう1部は提出用。

もし単位が足りなかったら、試験合格と科目履修制度がありますよ。

詳しくは【試験受けなくてOK】電気主任技術者を認定取得する方法と認定校一覧を参照ください。

 

提出先は最寄りの産業保安監督部

北海道産業保安監督部

関東東北産業保安監督部東北支部

関東東北産業保安監督部

中部近畿産業保安監督部

 中部近畿産業保安監督部 北陸産業保安監督署

中部近畿産業保安監督部近畿支部

中国四国産業保安監督部

中国四国産業保安監督部四国支部

九州産業保安監督部

那覇産業保安監督事務所

 

電気主任技術者の認定取得とは

電気主任技術者を試験に合格せずに実務経験があれば資格取得できる制度が認定取得です。

認定取得の条件は

認定校を卒業して、所定の課程を修了、実務経験を有している場合です。

詳しくは【試験受けなくてOK】電気主任技術者を認定取得する方法と認定校一覧を参照ください。

第一種、二種、三種電気主任技術者で必要な実務経験年数

第一種電気主任技術者第二種電気主任技術者第三種電気主任技術者
一種~三種の認定校5年3年1年
二種三種の認定校取得不可5年2年
三種認定校取得不可取得不可5年

大学の電気科卒業が一種~三種認定校

短大や高専、専門学校の電気科卒業が二種三種の認定校

高校の電気科卒業が三種の認定校にそれぞれ当たります。

 

実務経験と認められる業務

実務経験は電験三種で「500V以上の電気工作物の工事、維持または運用」です。一般電気工作物は対象外です。

二種は10kV(1万ボルト)以上、一種は50kV(5万ボルト)以上の電気工作物です。

500V以上での電気工作物、一般電気工作物が対象外なので、

電気工作物とは、電気を供給するための発電所、変電所、送配電線路をはじめ、工場、ビル、住宅等の受電設備、屋内配線、電気使用設備などの総称をいいます。

一般電気工作物とは、主に一般住宅や小規模な店舗、事業所などのように、他の者から低圧(600 ボルト以下)の電圧で受電している場所等の電気工作物をいいます。

引用:(一財)電気技術教育センター

より詳細な内容は

  • 屋内外配線工事
  • 機器調整および性能検査
  • 設備を安定的・経済的に運転するための検査業務
  • 定期点検・修理・試験・測定など設備の機能を維持するための保安管理業務
  • 新設・増設・取替え・改修などの工事における電気設備の設計業務
  • 系統の変更

という業務が挙げられます。

参照:中部近畿産業保安監督部北陸産業保安監督署「電気主任技術者免状の交付申請に必要な書類の作り方」

 

屋内外配線工事

工場やビルの配線の大規模な電気工作物の配線の工事を、電気主任技術者が行うのは、実務経験に含まれます。

電気工事士が行うのは住宅や店舗、小規模なビルや工場の配線工事です。

大規模な電気工作物の電気工事は電気主任技術者が監督して電気工事士はその指示に従って作業するのが配線工事になります。

 

機器調整および性能検査

発電設備、変電設備、送配電設備などの電気工作物が、設計した性能を保持しているかどうか確認するために性能検査し、設計した性能になるように機器調整するのも電気主任技術者の実務経験に含まれます。

電気設備における性能検査は、設計通りに、発電設備。受電設備、変電設備等が製作されているかどうか検査し、機器調整します。

性能検査と機器調整は工場出荷前に行うことと、設置後に現地で立会検査する場合があります。

 

設備を安定的・経済的に運転するための検査業務

電気主任技術者は、工場やビルの高圧受電設備から、電気の使用量が多くても効率的に安定して電気を供給するように設備を安定させ、経済的に運転する検査をします。

高圧受電設備は、運転方法によって電気の使用量が多い工場やビルにおいては、無駄な電気使用量が増加するので、経済的に運転するための検査が欠かせません。

高圧受電設備が故障すると、ビルや工場の業務が停止し大きな損害が発生するので設備安定は大切です。

運転状態の監視、周波数及び電圧・電流の調整、電力需給の調整、系統の変更、事故の復旧等における運転、切り換え操作、給電指令、運用(事故の原因究明、報告等)が運転時の具体的な業務です。

 

定期点検・修理・試験・測定など設備の機能を維持するための保安管理業務

電気主任技術者が、稼働中の発電設備、受電設備、変電設備等の電気工作物が正常に稼働するように、設備を維持するために保守管理する業務は、実務経験に含まれます。

一番電気主任技術者の業務としてイメージしやすいのが保安管理業務ですね。日頃の点検から、年次点検など色々あります。

 

新設・増設・取替え・改修などの工事における電気設備の設計業務

電気設備や器具の配置の設計は、電気主任技術者の実務経験になります。注意しなければいけないのが工場、ビル等の要求に応じて、設置する発電設備、受電設備、変電設備などの電気設備や器具を設計し、電気工作物の配置を設計する業務が実務経験に当たります。

新設する設備はイメージしやすいですが、取替え、改修、増設の場合も実務経験に含まれます。

設備の更新によって効率的に電力を使用するように電気設備や器具の設計をすることは電気主任技術者の重要な業務です。

 

実務経験と認められない業務

実務経験に認められない業務は

電気工作物に関係ない設備に従事する業務や電気設備に関するものであっても、知識や経験が必要ない簡易な作業は実務経験として認められていません。

具体的に認められていないものとしては、次の通りです。

  • 電力会社から100・200Vで受電する一般電気工作物での業務
  • 電気工作物に関する知識を要さない監査や記録
  • 受電設備を含まない需要設備、負荷設備のみの維持、運用業務
  • 学校、研究所の実験設備、試験設備に係る業務
  • 二次側だけに高電圧を発生させる機械器具(X線発生装置やネオン変圧器など)に係る業務
  • 電気機械器具、計器類の製造に係る業務
  • 電気鉄道用電気設備であって、電車線、トロリー線に係る業務
  • 船舶(除 非自航船)、車両、航空機内の電気設備に係る業務
  • 電気事業法が適用されない海外における業務

参照:中部近畿産業保安監督部北陸産業保安監督署「電気主任技術者免状の交付申請に必要な書類の作り方」

土木工事、通信工事は電気工事ではないので実務経験にならないのはイメージしやすいですね。

低圧に当たる一般電気工作物は、電気主任技術者の業務範囲外なので実務経験となりません。ここは誤解しやすいですが、低圧の600V以下は対象外ですね。電験三種の実務経験500V以上は受電は高圧になるので注意してください。

鉄道、車両、船舶等電気設備は対象外ですね。電気主任技術者が取り扱う、工場、ビル等で発電し、受電し、送配電する電気工作物ではないですから。

電気主任技術者は日本国内での資格なので海外での受配電設備の維持・運用しても、実務経験には含まれません。

 

実務経歴証明書の書き方

実務経歴証明書の書き方注意点を公表されていました。

維持・管理業務の場合と、工事業務の場合で分けてあります。

 

維持・管理の場合

電気主任技術者認定取得、実務経歴証明書の書き方1ページ目

電気主任技術者認定取得、実務経歴証明書の書き方2ページ目

電気主任技術者認定取得、実務経歴証明書の書き方3ページ目

電気主任技術者認定取得、実務経歴証明書の書き方4ページ目

引用:中部近畿産業保安監督部北陸産業保安監督署「電気主任技術者免状の交付申請に必要な書類の作り方」

書き方で注意したいのが、

実務経験が複数の会社にまたがっている場合はそれぞれの会社で書かなければなりません。

ビルメンテナンス会社等に所属している場合の委託契約で管理するケースでは、自社及び契約会社(設置者)の両者の証明を受けてください。但し、実務経歴期間内全ての契約書、覚書、仕様書等を添付出来る場合は、自社のみの証明でOKです。

 

概要

いつから、どういう立場で、誰の指導で、何に基づいて、どんな場所で、どのような電気工作物を、どんな業務に従事していたか

とあらゆることを詳細に誰が読んでもわかるように書かなければいけません。

業務の実施方法

勤務体制、担当業務、人数、申請者立ち位置、組織図なども必要です。

組織図の例

引用:中部近畿産業保安監督部北陸産業保安監督署「電気主任技術者免状の交付申請に必要な書類の作り方」

組織図はこんな感じのものを作れば良いでしょう。自分の会社の組織図なんてわからないってことはありますよね。組織の上は誰で、ってこともあります。ここまできちんとしている組織なら組織図は簡単ですけど…。

日常業務

運転操作業務、監視業務、巡視点検業務それぞれ

5W1H(「When:いつ」「Where:どこで」「Who:だれが」「What:何を」「Why:なぜ」「How:どのように」)を意識して書かないとダメですね。

いつ(月1回)、どういう目的、どういう方法(目視、計器の監視)というようなことを書いていきます。

取り扱っている電気工作物の発電所、変電所、送電線路、需要設備については詳細を理解して記入しないとダメですよ。

発電所だと・発電所の出力・発電機の出力、電圧、台数・主要変圧器の一次二次電圧、容量、相数、台数・遮断器の種類、電圧、遮断容量、台数・断路器の電圧、電流、台数・その他機器の定格と台数

変電所だと・出力回転数主要変圧器の一次二次電圧、容量、相数、台数・遮断器の種類、電圧、遮断容量、台数・断路器の電圧、電流、台数・その他機器の定格と台数

送電線路は開閉所と電線路に分かれます。

開閉所は・遮断器の種類、電圧、遮断容量、台数・断路器の電圧、電流、台数

電線路は・種類(架空か地中か)・線路電圧線路亘長回転数

需要設備だと・受電電圧契約電力主要変圧器の一次二次電圧、容量、相数、台数・遮断器の種類、電圧、遮断容量、台数・断路器の電圧、電流、台数・その他機器の定格と台数・二次変電設備については各二次変電設備ごとに記載

維持運用に関する定期業務

月次点検、年次点検の

頻度(毎月、年1回etc)、どのような立場(自分の)、方法(停電の有無etc)、どの電気工作物(遮断器、断路器etc)、点検項目(緩み、変形、変色etc)、何に記録し整理していたか、その結果どう処理したか

ということを書いていきます。

測定業務の

頻度(毎月、年1回etc)、どのような立場(自分の)、方法(停電の有無etc)、どの電気工作物(遮断器、断路器etc)、試験項目(絶縁抵抗測定、接地抵抗測定、保護継電器の動作試験etc)、何に記録し整理していたか、その結果どう処理したか

維持運用に関する不定期業務

機器の事故処理、機器の老朽化、事故処理に伴う改造、取替工事、台風、積雪時、年末年始等の特別巡視等の業務について、実績がある場合は、

改造、取替工事又は事故・故障対応業務は「いつ、どの機器、どういう原因、どうなったか、自分はどういう立場、どう対応したか」

特別巡視業務は「いつ、どの機器、自分はどういう立場で点検したか」

 

工事の場合

電気主任技術者認定取得、実務経歴証明書の書き方工事の場合1ページ目

電気主任技術者認定取得、実務経歴証明書の書き方工事の場合2ページ目

引用:中部近畿産業保安監督部北陸産業保安監督署「電気主任技術者免状の交付申請に必要な書類の作り方」

書き方で注意したいのが、

実務経験が複数の会社にまたがっている場合はそれぞれの会社で書かなければなりません。

 

概要

どういう立場で、誰の指導で、何に基づいて(施工図、機器配置図erc)、どんな業務に従事していたか(需要設備の新設工事etc)

とあらゆることを詳細に誰が読んでもわかるように書かなければいけません。

業務の実施方法

勤務体制、担当業務、人数、申請者立ち位置、組織図なども必要です。

組織図の例

引用:中部近畿産業保安監督部北陸産業保安監督署「電気主任技術者免状の交付申請に必要な書類の作り方」

組織図はこんな感じのものを作れば良いでしょう。自分の会社の組織図なんてわからないってことはありますよね。組織の上は誰で、ってこともあります。ここまできちんとしている組織なら組織図は簡単ですけど…。

設計業務

いつからいつまで、どのような電気工作物について、どのような方法や考えで設計し、何を作成したか

工事施工業務

基礎工事、据え付け工事、社内検査等の工事工程別に記載してください。

基礎工事は土木工事で電気主任技術者の実務経験と認められない可能性がありますね。接地線工事をどう判断するかはわかりかねます。

いつからいつまで、どのような工事を(基礎工事、据え付け工事、社内検査)、どのくらいの頻度で、何人で、どこで(現場事務所に常駐)、どのような立場で(現場代理人)、何を立会い何をチェックし、誰の何を指導監督し、その結果をどのように処理したか、試験検査項目

と多くのことを書く必要があります。一度でOKとならずに何度か出しなおすこともありますのでめげずに頑張りましょう。

 

面談

実務経歴証明書が出来て産業保安監督部に提出すると次は担当者との面談です。

面談では提出した実務経歴証明書を元に

記載内容の確認と詳細な仕事内容も確認されます。

それ以外にも管理している(実務経験に書かれている)受変電設備の詳細、保安管理体制の内容や、具体的な日常点検での測定方法、記録内容ということが聞かれる場合もあります。

電気主任技術者を試験合格ではなく認定取得するので相応の機器に関する知識が求められるため、比率作動継電器の役割が問われることもあるので電験の知識は必須ですね。

面談があるので軽く見ないようにしてきちんと対策しましょう。

電気主任技術者の免状取得、実務経験と実務経歴証明書の書き方
最新情報をチェックしよう!