・CBT導入のメリットデメリット
・科目合格制を維持することでの変化
・なぜ試験制度を変えるのか
電験三種の試験変更は年2回受験できるようになって、試験に合格しやすくなるって思っていませんか?合格しやすくなるだけではないんです。
実は電験三種の試験変更は年2回試験だけでなくCBT試験導入で試験日が変更できるようになること、CBT試験に伴い得点調整が行われなくなり、合格点は60点で固定となり難しくなることもありうる、科目合格制はそのままなので合計6回の試験で4科目合格すればOKです。
この記事では電験三種の試験変更点、CBT試験導入のメリットデメリット、科目合格制を維持することでの変化、そもそもなぜ試験制度を変更することになったのか、ということについて書いていきます。
電験三種の試験制度変更点
変更前 | 変更後 | |
試験回数 | 年1回 | 年2回 |
試験方法 | マークシート方式 | マークシート方式あるいはCBT方式※ |
受験日 | 選択不可 | 選択可※ |
※2022年は年2回の試験のみで、CBT導入はありません。また、CBT導入に伴う受験日の選択も23年になります。
CBT(Computer Based Testing)方式はテストセンターへ行ってパソコンから回答する試験方式を指します。すでに日商簿記やITパスポート試験などで導入されています。
参考記事:「電気主任技術者試験の受験資格、申込~受験~免状取得までの流れ」
CBT試験について
CBT試験は公開期間に各試験センターに予約を入れ、当日テストセンターに行って試験を受けます。問題は紙ではなく、画面上に映し出されます。試験によっては別途メモ用紙・計算用紙が支給され、メモしたり、計算した回答をPC画面の選択ボタンで解答していきます。
CBT試験のメリット
- 自分の都合のいい日時で受験可能
- ランダム出題のため過去問対策がマークシート以上い役立つ可能性あり
- ブースで受験するため周りを気にせず受験可能
自分の都合のいい日に受験できること、一人で静かに受験できるなど日頃働いている社会人の受験生にとっては色々とありがたい試験です。
CBT試験のデメリット
- 画面上で問題も回路図も見なければならず、慣れないと見落としや間違いが起こりやすい。
- CBT試験では問題を持ち帰ることができず過去問出ていない問題が出題されること、出題傾向が変わる可能性がある。
- 試験問題がランダムに変更となるため、得点調整が行われない。
電験三種は各科目60点が合格点ですが、問題の難易度によって55点で合格にするような調整が行われています。CBT試験はランダムに出題されるため得点調整が行われなくなり合格点が60点固定となり、一概にメリットとは言えません。また、テストセンターに慣れないと意外な見落としや間違いを起こすことがあるので注意が必要です。
科目合格制の今後
半年ごとで科目合格を目指して勉強するスタイルも一つの方法です。
科目合格は引き継がれるため、合格している科目があれば来年以降で合格すればよく、資格取得しやすくなります。
4科目一発合格目指すべきか、科目ごとの合格を目指すべきか
3年間で4科目合格を目指す科目合格制で新試験制度では年2回、合計6回の試験で4科目合格すれば良く合格しやすくなります。
今までは4科目すべて勉強して、合格できない科目を2年目以降で合格目指すスタイルでしたが、年2回の試験で1科目ずつ勉強したほうが効率が良いのではないか、と悩みます。
電気主任技術者試験の「理論」、「電力」、「機械」、「法規」の各科目は複雑に絡み合っており、1科目ごとに合格を目指すスタイルだと機械の内容で理論が関係する内容を忘れてしまい再度勉強しなおす必要があるため非効率です。
4科目を順番に繰り返して勉強していくスタイルが最短での合格法になります。
なぜ試験制度を変えるのか?
なぜ電験三種の試験が変更になるのでしょうか?その理由は、少子高齢化による人手不足懸念の高まりです。
経済産業省の発表によると、将来的に電気主任技術者の人材が不足すると予想されています。
経済産業省「電気保安人材を巡る課題の検討状況について」より
数年前から実務経験の年数短縮など人材を増やすための対策案が議論されており、今回の試験変更も人材確保が狙いです。
1年に1回の試験、しかも試験日時を決め打ちにされては、仕事の状況や個人の事情で受験できない人も出てきます。しかし、電気主任技術者の仕事の性質上、安易に合格基準を緩めるわけにもいきません。
試験を受けやすくして受験生の母数を増やし、合格者の質を落とさずに有資格者を増やすためです。
電気保安業界の人材不足
電気設備の保安監督業務を行うことができる人材が不足する可能性が高いことが懸念されています。
高圧以上の電気設備の増加(以前は低圧受電が多かったコンビニは近年では高圧受電が多いため保安監督が必要)、メガソーラーや大規模な風力発電所など電験二種を必要とする設備が増加することによる保安業界自体の仕事量が増えていることが挙げられます。
その一方で
- 工業高校の卒業者の減少などの少子高齢化による人手不足
- 電気主任技術者試験の申込者は近年横ばいから減少傾向にあること
- 試験合格者で電気保安業界に転職する人が少ないこと
などで保安業界に入ってくる人が少ない現状があって試験の合格者を増やして人材不足に対応していくためです。
電気工事士試験でもCBT試験導入
電気工事士試験でも人材不足から令和5年度(2023年度)試験からCBT試験が導入されます。
電気工事士試験は筆記試験のみがCBT試験で受験できるようになります。
技能試験はこれまでと同じように会場での受験のみです。