・試験の違い、認定取得する際の実務経験の違い
・できる仕事の違い
電気主任技術者(電験)の一種、二種、三種の違いが試験が難しいだけだと思っていませんか?
実は、電験一種、二種、三種は試験が難しいだけでなく、試験内容、受験料、認定取得の実務経験、できる仕事など多くの違いがあります。
この記事では、電気主任技術者の一種、二種、三種の違いで試験内容、受験料、難易度、認定取得の実務経験の内容と年数、できる仕事の具体的な違いを書いています。
試験の違い
電験一種、二種と三種では試験が違います。
一種と二種は二次試験があり「電力・管理」「機械・制御」の2科目で合格しなければなりません。
二次試験は論述式試験です。
電験三種の試験と電験一種、二種の一次試験は択一式のマークシート試験。
試験科目は同じ「理論」「電力」「機械」「法規」で、科目合格制です。
参考記事:「電気主任技術者試験の受験資格、申込~受験~免状取得までの流れ」
試験日程の違い
電験三種の試験と電験二種、一種の一次試験は同じ週末の土日、電験三種は日曜日、電験二種と一種は土曜日に試験があります。
2022年試験は電験三種が8月21日(日)、電験二種と一種が8月20日(土)。
電験二種と一種は二次試験があり、11月13日(日)です。
受験料の違い
電験三種は8,100円(インターネット申込7,700円)
電験二種と一種は14,200円(インターネット申込13,800円)
難易度
電気主任技術者試験は難関資格の一つです。
一番取得しやすい第三種電気主任技術者でさえ合格率は10%以下。一発で合格できる人は少ないのが実情。
三種でさえ合格までの勉強時間が1000~1500時間と言われるほどの難関資格です。
第三種電気主任技術者試験データ
申込者数 | 受験者数 | 合格者数 | 合格率 | 科目合格者 | |
平成20年 | 54,509 | 40,140 | 4,361 | 10.9% | 15,350 |
平成21年 | 64,259 | 47,593 | 4,558 | 9.6% | 17,140 |
平成22年 | 68,471 | 50,794 | 3,639 | 7.2% | 14,240 |
平成23年 | 67,844 | 48,864 | 2,674 | 5.5% | 13,245 |
平成24年 | 68,484 | 49,452 | 2,895 | 5.9% | 14,741 |
平成25年 | 69,128 | 49,575 | 4,311 | 8.7% | 12,381 |
平成26年 | 68,765 | 48,681 | 4,102 | 8.4% | 14,625 |
平成27年 | 63,694 | 45,311 | 3,502 | 7.7% | 13,389 |
平成28年 | 66,896 | 46,552 | 3,980 | 8.5% | 13,457 |
平成29年 | 64,974 | 45,720 | 3,698 | 8.1% | 12,176 |
平成30年 | 61,941 | 42,976 | 3,918 | 9.1% | 12,335 |
令和元年 | 59,234 | 41,543 | 3,879 | 9.3% | 13,318 |
令和2年 | 55,406 | 39,010 | 3,836 | 9.8% | 11,686 |
令和3年 | 53,685 | 37,765 | 4,357 | 11.5% | 12,278 |
令和4年 | 85,929 | 62,571 | 7,307 | 11.7% | 18,199 |
令和4年度試験から上期と下期の年2回受験が可能になりました。
令和4年度以降は上期、下期合算したデータになります。
第二種電気主任技術者試験データ
一次試験の合格率は20-30%、二次試験が10-20%で全体での合格率はおおよそ5%前後と難関資格にふさわしい難易度。
二次試験の有資格者数は一次試験合格者と前年の一次試験合格者で試験申込をした人の合算。
第一種電気主任技術者試験データ
一次試験の合格率は20%前半、二次試験が10-20%で全体での合格率はおおよそ5%前後。
1年間での合格者が100人以下のことが普通であり、難関資格であると同時に稀少価値の高い資格と言えます。
認定取得の実務経験の違い
必要な実務経験年数
第一種電気主任技術者 | 第二種電気主任技術者 | 第三種電気主任技術者 | |
一種~三種の認定校 | 5年 | 3年 | 1年 |
二種三種の認定校 | 取得不可 | 5年 | 2年 |
三種認定校 | 取得不可 | 取得不可 | 5年 |
実務経験は
- 一種が電圧5万ボルト以上の電気工作物の工事、維持又は運用
- 二種が電圧1万ボルト以上の電気工作物の工事、維持又は運用
- 三種が電圧500ボルト以上の電気工作物の工事、維持又は運用
必要とされる実務年数だけでなく実務経験も違います。
参考記事:「【試験受けなくてOK】電気主任技術者を認定取得する方法と認定校一覧」
できる仕事の違い
一種はすべての電気工作物が対象
二種は電圧が17万V未満の事業用電気工作物
三種は電圧が5万V未満の事業用電気工作物(出力5,000kW以上の発電所を除く)
電験三種でできる仕事
三種は事業用電気工作物で最も多いのはキュービクルで6,600Vを受電してそこから変圧して100V、200Vを供給して照明などの設備で使用する場合でほとんどの高圧以上での受電設備はこれに該当します。
工場や大規模商業施設などで22,000Vを受電する場合もあります。
これらの電気設備の保安監督業務を行うことができます。
電験二種でできる仕事
二種の17万V未満というのは
変電所から直接送電されるケースで主に大規模な需要家(工場、大学など)や鉄道株式会社など。
東京電力や関西電力などの電力会社ごとで電圧が異なりますが、60,000V、70,000Vあるいは15万4000Vなど様々な電圧で供給されています。
送電時のロスを減らすために高電圧で送電するため、50万V、27万V、22万V、15.4万Vなどで送電されます。
近年増えたメガソーラーは電圧が高く、60,000V、70,000Vで送っているところは二種電気主任技術者を必要としています。
電験一種でできる仕事
一種はすべての電気工作物が対象。
東京電力や関西電力のような電力会社の設備で50万Vを最大に20万V以上で運用されている設備の保安監督業務を行えます。設備は変電所は送電線路に限られます。
業界では「神」と称せられるほど難しい試験ですが、電力会社が主な活躍場所となり、二種に比べると一種でなければできない仕事は少ないのが実情です。