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第1種電気工事士試験内容

電気の資格に詳しい人
第1種電気工事士試験がどんなものか。2種と筆記試験と技能試験(実技)それぞれがどう違うのか、内容を見ていきましょう。

2種を取った後、仕事で必要に迫られてなどで1種電気工事士を取ろうする場合、2種とどこが違うのか?気になりますよね。

1種の実際の問題からどのくらいの難易度か、問題は難しいのか、技能試験は難しいのかなど、勉強を進める際にいろいろと参考になる記事となっています。

筆記試験は50問中30問正解(60点)で合格です。高圧分野が試験範囲の主となるため難しく、イメージしにくくなっています。
筆記試験は2種に比べ合格率が10-20%低いので対策が重要です。
技能試験は事前に10課題が公表されていて、本番ではそのうち1つを実際に作る試験です。2種に比べ作業量が圧倒的に増えているので注意が必要です。
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参考記事:「電気工事士試験の申込から日程、受験、免状取得まで

参考記事:「電気工事士の1種と2種の違いとは

筆記試験

試験はマークシートの四肢択一。

正しいものを選べ、間違っているものを選べという形式で覚えてしまえば必ず解ける問題です。

長い文章で間違いをわかりにくくするようなことはしていません。

問題は50問で60%、つまり30問正解できれば合格できます。

問題の種類出題数出題内容
一般問題29問計算問題(5-10問)、知識問題(19-24問)
配線問題21問配線図問題(11-16問)、材料鑑定(5-10問)

制限時間は120分。

制限時間はありますが、問題を勉強していけば30-40分ですべて解けます。

実際の試験では60分終了すれば退出することができ、多くの受験生はここで退席します。

参考記事:「合格できる勉強法【第1種電気工事士】

 

筆記試験出題内容

出題範囲内容
電気に関する基礎理論キルヒホッフの法則、電流の磁気作用など
配電理論及び配線設計有効電力、電力損失、需要率等を求める問題
電気応用照度、電動機の計算、発電機の知識問題等
電気機器・蓄電池・配線器具・電気工事用の材料及び工具並びに受電設備高圧関係の機器、器具の名称役割が問われる問題等
電気工事の施工方法低圧の電気工事だけでなく高圧の電気工事知識も問われる問題等
自家用電気工作物の検査方法絶縁抵抗、試験電圧、定期点検の項目等が問われる問題
配線図三相誘導電動機や高圧受電の配線図
発電施設・送電施設及び変電施設の基礎的な構造及び特性火力発電、水力発電などの基礎知識
一般用電気工作物及び自家用電気工作物の保安に関する法令電気工事士法、電気用品安全法など

参考記事:「筆記試験勉強の仕方

参考記事:「おススメの問題集、テキスト

 

2種との筆記試験の違い

1種の試験範囲が高圧(交流600Vより上)が対象で、問題も高圧関係の機器に関する問題や計算問題の難易度も上がります。

筆記試験の合格率を比較した場合

第1種、2種電気工事士筆記試験合格率比較

第2種筆記試験の合格率のほうが10-20%高いです。

第1種電気工事士の筆記試験は2種に比べ合格するまで多くの勉強をしなければなりません。

試験問題の範囲も高圧分野が多く中々イメージしにくいものが多いです。問題自体の難易度は大きく変わりませんが試験範囲が広がっているため難しくなっています。

 

筆記試験実際の問題

電気に関する基礎理論

第1種電気工事士試験問題1

2種に比べると難易度が高くなります。

【解答】

誘導性リアクタンス(XLはXL=2πfLで電源周波数fが高くなるほど大きくなる。

容量性リアクタンス(XCはXC=1/2πfLで電源周波数fが高くなるほど小さくなる。

50Hzが60Hzに変更となった場合

XL=0.6Ω→XL=0.6×(60/50Hz)=0.72Ω

XC=12Ω→XC=12÷(60/50Hz)=10Ω

誘導性リアクタンスと容量性リアクタンスのインピーダンスは

XC-XL=9.28Ω

答えは「イ」9.28Ω

 

配電理論及び配線設計

第1種電気工事士筆記試験、配電理論及び配線設計の例題

【解答】

VB=210V-(電源から負荷Aの電圧降下+負荷Aから負荷Bの電圧降下)

電源から負荷Aの電圧降下

①の電流は20A+10A=30A、抵抗0.1Ωが2つあるため

30A×(0.1+0.1)=6V

負荷Aから負荷Bの電圧降下

電流10A、抵抗0.1Ωが2つあるため

10A×(0.1+0.1)=2V

よって

求める電圧VB=210V-(6V+2V)=202V

 

PL=電源から負荷Aの電力損失+負荷Aから負荷Bの電力損失

単相2線式の電力損失=2I2r(I:電流、r:抵抗)

電源から負荷Aの電力損失

①30A、抵抗0.1Ωより電力損失は2×30×30×0.1=180

負荷Aから負荷Bの電力損失

10A、抵抗0.1Ωより電力損失は2×10×10×0.1=20

よって

電力損失PL=180+20=200W

答えは「ロ」VB=202V、PL=200W

 

電気応用

第1種電気工事士筆記試験、電気応用例題

【解答】

Y-Δ始動法と全電圧始動を比べた場合

全電圧始動法とY-Δ始動法の違い

Y-Δ始動法は電流、トルクいずれも1/3となります。

答えは「ロ」

 

電気機器・蓄電池・配線器具・電気工事用の材料及び工具並びに受電設備

第1種電気工事士筆記試験、電気機器・蓄電池・配線器具・電気工事用の材料及び工具並びに受電設備例題

【解答】

問題の機器は直流リアクトル

接続端子が入力3つ、出力3つの計6個ついている。

役割は高調波電流の抑制電源投入時のコンデンサーへの突入電流の抑制の2つ

答えは「ロ」高調波電流の抑制。

 

電気工事の施工方法

第1種電気工事士筆記試験、電気工事の施工方法

【解答】

高圧屋内配線はケーブル工事で行うことが原則です。

乾燥した場所であって展開した場所で、接触防護措置を施して施設する場合に限りがいし引き工事が認められています。

金属管工事、合成樹脂管工事、金属ダクト工事は認められていません。

 

自家用電気工作物の検査方法

第1種電気工事士筆記試験、自家用電気工作物の検査方法例題

【解答】

最大使用電圧7000V以下の機器の絶縁耐力試験では

①最大使用電圧の1.5倍の交流電圧を10分間加える

②試験対象がケーブルの場合、試験を直流電圧で行う場合は交流試験電圧の2倍の電圧で行うこと。

答えは「ロ」

 

配線図

配線問題が2種の試験では屋内配線だったのが、高圧受電、電動機などの配線問題が出題されます。

1種問題配線図1

第1種電気工事士筆記試験、配線図例題

地絡継電装置付き高圧交流負荷開閉器(UGS)について

【解答】

地絡継電装置付き高圧交流負荷開閉器(UGS)は地絡発生(電流が地面に流れる)時に電力系統への波及事故を防ぐために設置します。

アーク消弧機能は有していないので短絡電流のような過電流が流れたときは動作しないように過電流ロック機能は備えています。

短絡事故を遮断する能力は持っていません。

答えは「ハ」

 

高圧地中引込線に関して

【解答】

15m以下はケーブル標識シートの表示を省略できますが、20mの場合は物件名称、電圧、管理者名の表記が必要です。

答えは「二」

 

1種問題配線図2

令和元年1種配線図問題2

【解答】

押しボタンでメーク接点(a接点)、ブレーク接点(b接点)を組み合わせるものになります。

①は常時入りのブレーク接点(b接点)、②は切りのメーク接点(a接点)

答えは「イ」

メーク接点は押したときだけ作動するもので、Bのイの図記号

ブレーク接点は押したときのみ切れるもので、Aのイの図記号

 

令和元年1種配線図問題3

令和元年1種配線図問題4

【解答】

答えは「二」のVCT

VCTは電力需給用計器用変成器

VT(計器用変圧器)、CT(変流器)と呼ばれる電気機器からなり、電圧と電流の情報をこのVCTと接続される電力量計により、電力量を計算し表示しています。

 

発電施設・送電施設及び変電施設の基礎的な構造及び特性

第1種電気工事士筆記試験、発電施設・送電施設及び変電施設の基礎的な構造及び特性例題

【解答】

水力発電は取水口から水を流して水車を回して発電します。

用水の経路は取水口→水圧管路→水車→放水路となります。

答えは「ハ」

 

一般用電気工作物及び自家用電気工作物の保安に関する法令

第1種電気工事士筆記試験、一般用電気工作物及び自家用電気工作物の保安に関する法令例題

【解答】

短絡接地器具は取付時は接地側→電路側を取り付け。取外し時は電路側→接地側を取り外します。

充電していても接地側に流れて人体に流れないようにするためです。

答えは「二」

 

出典:一般財団法人電気技術者試験センターの令和元年(2019年)筆記試験問題より引用

2種に比べると配線図の種類は多くなり、勉強する範囲は増えます。理解できない、わからないという人はいます。

一つ一つ理解していくと解けるようになります、焦らず粘り強く勉強することが大切です。

 

技能試験

技能試験は制限時間内に実際の電気の配線を完成させる実技試験です。

技能試験は筆記試験合格後に受験できます。

公表問題数10問
制限時間60分

出題は受験案内に13問公表されている中から1問が出題されます。

その問題の中から時間内に誤結線などのミスなく完成させれば合格です。

 

練習段階で50-55分で完成させられるようになれば合格できます。

2種と比べたときに作業量の多さに圧倒されました。

参考記事:「合格できる勉強法【第1種電気工事士】

参考記事:「技能試験勉強の仕方

参考記事:「おススメの問題集、テキスト【技能試験】

 

2種との技能試験の違い

2種と1種比べたとき、時間内で求められる作業量が圧倒的に増えています。

1種、2種技能試験の違い

合格率は

電気工事士1種、2種技能試験合格率比較

作業内容は増えていますが、合格率はほとんど変わっていません。

受験者が電気工事を仕事として行っている人たちがほとんどで受験者のレベルが高くなっています。技能試験自体も難しいものとなっていて、2種と同じで簡単に合格できると考えると痛い目を見ます。

 

技能試験実際の問題

1種技能試験単線図

第1種電気工事士技能試験、施工条件例題

この条件の問題を複線図を書いて、実際に作っていきます。

【完成例】

1種技能試験完成例

出典:一般財団法人電気技術者試験センターの令和元年公表問題No.1より引用

2種と比べたとき作業量は圧倒的に増えています。

電気工事を仕事でしている人であれば問題ないですが、仕事で工事をしていないとなかなかハードルは高い。

練習して少しでも作業を早くすること、無駄な作業を省くことが大切になってきます。

 

技能試験時間配分おススメ

60分の時間配分おススメ

作業内容目安時間注意点
施工条件の読み込みと複線図の作成3分施工条件の確認し、電線の色指定、接続方法などを複線図に反映させたものを作成
複線図の確認1分施工条件、配線のミスがないことを確認
電線カット、被覆剥き、機器への取り付け(すべての機器)35分複線図に電線の長さを書いておき、確認しながらカット
複線図、寸法、欠陥事由などの確認4分心線が機器取付部から見えないかなど欠陥事由となるところを確認
配線圧着、接続、ジョイントボックスほか仕上げ15分差し込みコネクタの先に心線が見えるか、圧着が正しくできているかなどミスがないように作業をする
見直し2分施工条件、単線図と複線図、欠陥事由となりうるところなど確認していきます。またきれいに仕上げましょう。

見直しが終わって時間が残っていれば片付け。残っていなければ試験後。

 

これは私が実際にした作業目安

一番大切なことは作業ごとに複線図、寸法などを確認すること。

そうすることでミスを防ぐことができ、結果早く完成し合格できる確率が上がります。

いかに作業を早く進められるか考えて練習をしていくことをおススメします。

きれいに仕上げると試験官は必要以上に見ようとしなくなるのでおススメです。

 

試験で大切なこと

筆記試験は時間に余裕があるため焦らないこと、終わった後に計算ミスがないか、ケアレスミスがないか確認を行うことです。

技能試験は時間に余裕はありませんが、余裕をもって取り組むことは大切です。

作業スペースが小さいことがよくあります。A3くらいの台紙が置かれていてその中で作業を完結できるようにしましょう。必ず複線図を書いてください。

平常心で臨むこと、確認しながら作業を行いミスを減らしましょう。

ほかの人は作業が速い、焦るかもしれませんが落ち着いて作業をしてください。

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